
口の中に血が残っていると、吐き気を催して再び吐血することがあります。
また、口の中が清潔になると、患者も落ち着きを取り戻します。
このときに潰瘍を患ったことがあるか、慢性肝炎や肝硬変と言われたことはないか、飲酒量と飲酒回数はどのくらいか、どんな薬を服用しているかなどを尋ねます。
次に、患者の様子を観察し、バイタルサインを測定して、ショックの有無を確かめましょう。
もし顔が蒼白で、冷や汗をかき、手足が冷たく、脈拍が小さく速く、最大血圧が一〇○以下であれば、出血量は1l前後か、それ以上に及んでいます。
足を上げ、頭部を低くして、いわゆる「ショック体位」にし、毛布を掛けて保温に努めます。
バイタルサインは十五分ごとに記録しましょう。
胃の部分にタオルを当て、その上に氷嚢を置いて患部を冷やします。
少しでも出血を軽くするためです。
絶対安静を保つために、不安が強ければ精神安定剤を服用させます。
呼吸に異常があれば、酸素吸入も必要になります。
医療無線通信で医師の指示をあおぎ、止血剤や副腎皮質ホルモン剤の皮下筋肉注射とかリンゲルの大量皮下注射などを行います。
幸いにしてショック症状が現われない場合は、次の手当を行います。
安静を保ち、胃の部分を冷やし、制酸剤を六時間ごとに服用し、止血剤を皮下筋肉内に注射します。
ほとんどが四十八時間以内に止血します。
脈拍や血圧が改善され、吐き気が消失したら、軽い食事を取らせます。
さて、手当が一段落したところで、吐血について考えてみましょう。
吐血はどんなときに起こるのでしょうか。
吐血は、食道や胃や十二指腸からある程度以上の出血があった場合に起こります。
十二指腸に続く回腸以下の部位では、大量の出血があっても吐血は起こりません。
またどんな病気で吐血が起こるのかを知っておくのも便利です。
救急病院の統計では、潰瘍、胃炎、食道静脈瘤が大部分を占め、中でも潰瘍と胃炎に多くみられます。
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